俺が欲しかったモノは。




何で全てすり抜けていくんだ。



信頼してた上司も。

大切だった母親も。

姉のように慕っていた友人も。



………泉。



会いたいよ…。



公園にたどり着くと、俺はベンチに腰掛けた。
無我夢中過ぎて、汗だくになっている。

持って来たカバンからペットボトルを取り出して、半分ほど残っていたお茶を一気に飲み干した。



何で。


この日だったんだろう。



店長に会ったのが、何で。



もし、店長に会っていなければ今頃もう施設に戻っていて。




……………あいつと再会していたはずなのに。


結局、何もかもを手に入れられない運命なのだと。
自分自身が忌々しくてしょうがなかった。



今の自分の状況も、りさがしでかしたこと。



…いや、りさがしなくても誰かがしたのかもしれない。


確かに俺は自由になった。


だけど。
一人になったよ。



鈴恵さんしか俺にはいない。