……めんどくせえな。

そう思いながらも、美佳には逆らえず俺は出かける準備を始めた。


ご飯ったって、定食屋かファミレスで、仕事の愚痴存分に聞かされるだけだろう。

それにどこか行くのも、俺は荷物持ち。
ショッピングの量も半端じゃない。


テレビやマンガで見るような、両手に大量に紙袋なんて当たり前だ。



まあ、何かしてる方が俺もいいのかな。



泉を忘れようと、客を何回も欲望に任せて抱いたけど気持ちが満たされることは一切なかった。


寧ろ、俺の心に広がる虚無感は果てしなかった。



泉以上を探したいんじゃない。
泉を、ただ思い出したくないだけなんだ。

もう、抱けない彼女を思って苦しくなりたくないだけ。



温かく、優しく、俺の心を照らした彼女の存在を。
いつまでも、大好きなだけ。


俺と一緒にいたら、きっと彼女を傷付けてしまうから。


精神的にだけじゃなく、肉体的にも。




もう、誰かを傷付けたくなんかない。