「もう、忘れた?」


眉を下げて、ぽつりとそう呟く。


忘れるわけ、ない。
ないじゃんか…。



俯いて、私は視線を逸らす。



和だけが意味をわかってなくて、首を傾げる。
それに気付いたのか、順二がこないだ私に言ったことをさらりと和に告白する。


「和、俺泉好きじゃん」


「え、ああ、うん」


和は然程驚く様子もなく、順二の告白に平然と頷く。
それにびっくりして、私は和の肩を掴んだ。


「し、知ってたの?」


私がそう尋ねると、和はこくんと頷くと

「わかりやすすぎだもん、順二」

そうやって、おどけて笑ってみせた。


知ってたんだ…。
だから、カラオケに順二誘ったり、二人きりにしたり…送らせたのか…。


やっと。
やっと気付いた私は、本当に鈍感すぎる。



記者になりたい、だなんて言って、ここまで鈍感だと…無理なのかな…。


ごめんね、順二。

私のこと、好きなのわかってんのに。


こんな酷な相談…してごめんね。