バラバラだったピースが、繋ぎあわさる。


あの、夜の情事も。
お金を手渡すのも。


俺を守りたかったんじゃない。



あいつを。
父親を。


愛していたから、こそ。


その奥に、俺がいて。
父親を愛して、その奥で俺を抱き締めて。


捨てた理由なんか、聞かなかった。



いや、聞けなかった。
俺がいらなかった、そう言われるのが怖くて。


一生、俺を手放さないと母さんは誓った。




ねえ。
その誓いを。


俺から手放しちゃった。


弱々しく、手を伸ばすその腕を俺は受け止める。



ねえ、母さん。


見た?
母さんの旦那、一目散に逃げてったんだよ。


俺を咎めるでもなく。
母さんを助けるわけでもなく。

ただただ、巻き込まれないように。
自分に火の粉が降り掛からないように。




どこを。

どこを愛していたの?