その言葉に弾けたように彼女が笑った。

何で笑ったのか、理解出来なくて、笑い転げる女を訝しげに見つめた。


「あはは、ごめんね。
君、売り初めてでしょ」


「えっ」

何で、わかったんだ…?


そんな顔を多分、もろにしていたんだと思う。
彼女はなお、笑い続けた。


「いやね、普通ありがとうなんてまじまじ言わないよ。
それに値段設定もおかしいし、君ならもっといけるのに。
ほら!」


くしゃっと、強引に渡されたのは壱万円二枚。
合計、四枚が今手の中にある。


「こ、んな…」


こんなにいらない。
そう、続けようとしたのを遮られる。


「売るなら売るで、プライドは持ちなよ。
これ、アドバイス」


「…………プライド」


「そ。安売りは自分の価値下げるから」





自分の価値。




最早、そんなもの俺にあるのだろうか。

よくわからない。



俺。

今、何でここにいるの?

よく。





わからない。



いらないと。

言われた俺に価値なんて。