私は一歩ずつゆっくりと伊織に近付いた。




ヒヤヒヤしながら、伊織の後ろに座る。


だけど、伊織はそんな私をものともせず隣にいる女と腕を絡めている。



チケット売り場のお姉さん、気がききすぎでしょ!




ドキドキしながら伊織の後ろ姿を見る。
髪の毛、染めてるはずなのにサラサラ。
なんだ、この人。
微かに覗く肌は真っ白で、艶々してる。

私よりもきめ細かい。

本当に男の人?


そこまで疑いそうなぐらい伊織は完璧だった。


そこへ、私の携帯のバカでかい着信音が鳴り響く。



まだ始まる前でざわざわしていたけど、私の携帯の着信音はかなり目立った。



ぎょっとしながら、慌てて携帯を見ると着信は中島先輩。





あっちゃー忘れてた。

そう、顔をしかめた時伊織が振り向いた。