案内されたのは、小さな喫茶店だった。


そこは母親が経営してるみたいだった。
その二階が俺の家だ。


新しい家。
コーヒーのいい香りが染み付いた家。


「伊織、お腹は空いてる?」


「うん、空いてる」


「じゃあ、玉子サンド作ってあげる!
うちの玉子サンドおいしいって評判なのよ」


「本当?楽しみ」

顔を見合せて、ふふっと笑うと俺はカウンターの椅子を引いて座った。


20人入ればいいぐらいだろうか。
そのぐらいこじんまりとしてるけど…。


あったかいな。



ここで、母親と俺で働いたりして。

貧しくても、愛がある生活をするんだ。



そんな夢みたいな生活。
憧れていた生活。



やっと、手に入るんだ。



笑顔の絶えない、毎日がいいな…。