込み入った話だからと、部屋に二人きりになった。

そこには、まだ小学生にもならない子が作った折り紙が貼りつけてある。
俺が教えてあげたのを思い出して、思わず目が微笑む。

そんな俺を見て

「いい顔で笑うようになったわね」

鈴恵さんがそう言って、変わらぬ優しい顔で微笑んだ。


向き合って机に座った鈴恵さんが、一枚の写真を差し出した。
そこに写ってたのは、赤ん坊を抱っこした綺麗な女の人。
多分、この赤ん坊の母親なんだろう。


「…これは?」


これがなんだろう。

………嫌な予感がする。


「これはね…」


その先。
聞きたくない。


「まだ四ヶ月だった伊織と、伊織のお母さん」



…………俺の、母親…。

この心の内に広がる感情をどう表したらいいんだろう。


嫌悪?軽蔑?

……好意?


どれも当てはまらないような気がした。

だって、この母親。
とっても幸せそうな顔をしてる。


それが俺を更に複雑な気持ちにさせる。