ドキッとして、俺は思わずそこに踏み止まる。
盗み聞きするつもりなんかなかったのに、足が床に張りついて動かなかった。
「イヤなの!私が一番じゃないと!!」
「一番だろ?!店でも、何もかも!」
「違うわよ!最近、あの子にばっか構って私に構ってくれない!」
「あいつは違うだろ?!行くとこねぇんだ、俺が面倒みないとだろ!?」
……あの子、あいつ。
はっきり名前は言わないけど、俺のことだと容易に想像がつく。
これ以上は聞けない。
聞いたらいけない。
直感的に思った俺は、静かに扉を閉めて厨房に入った。
流しの水で思い切り顔を洗う。
…………まだ胸がドキドキしてる。
すぐに二人は来て、不機嫌そうな店長をよそに美咲さんがニコニコしながら俺に挨拶をした。
「伊織ーおはよー!」
ポタポタ滴が落ちるのも気にならなくって。
俺は引きつった笑顔を見せる。
「お、おはようございます」
その後もニコニコしながら俺に話しかけてくる。
さっきまでの喧嘩が嘘みたいに。
盗み聞きするつもりなんかなかったのに、足が床に張りついて動かなかった。
「イヤなの!私が一番じゃないと!!」
「一番だろ?!店でも、何もかも!」
「違うわよ!最近、あの子にばっか構って私に構ってくれない!」
「あいつは違うだろ?!行くとこねぇんだ、俺が面倒みないとだろ!?」
……あの子、あいつ。
はっきり名前は言わないけど、俺のことだと容易に想像がつく。
これ以上は聞けない。
聞いたらいけない。
直感的に思った俺は、静かに扉を閉めて厨房に入った。
流しの水で思い切り顔を洗う。
…………まだ胸がドキドキしてる。
すぐに二人は来て、不機嫌そうな店長をよそに美咲さんがニコニコしながら俺に挨拶をした。
「伊織ーおはよー!」
ポタポタ滴が落ちるのも気にならなくって。
俺は引きつった笑顔を見せる。
「お、おはようございます」
その後もニコニコしながら俺に話しかけてくる。
さっきまでの喧嘩が嘘みたいに。



