レンタル彼氏【完全版】

【今日は店長のとこに泊まるので、明日いいですか?】


折角、店長がラーメンまで奢ってくれたんだ。
なのに、今から行くだなんて店長に悪いだろう。
そう、思った。


それから返信はなかった。
だけど、店長がお風呂から出て来て話を始めたら、すっかりメールのことが頭から消えていた。


その翌日。

店に店長と一緒に出勤した俺は、厨房の中で準備をしていた。


「伊織、ちょっと外買い出し行って来るわ」


「お願いしまーす!」

俺があまり外に出るのはよくないと、気を利かせて店長がいつも外に行ってくれる。
普通は店長が行くなんてことないんだろうけど、俺はそれに素直に甘えていた。


しばらく経って、テーブルを拭いてたら外が騒がしいことに気付いた。


「……り…しょ!」


「だ………ちげ……!」


…………誰だ?言い争い?

そっと、入り口まで近付き俺はドアノブに手をかけて少し開ける。

すぐに飛び込んだ声。



………店長と美咲さん…?