「お疲れ」


「お疲れ様です」

クローズした店のテーブルを片付けていたら、店長が事務所から顔を出した。

「最近、売り上げいいな。伊織のお陰だな」


「はは、何言ってんすか。
キャストが頑張ってるお陰ですよ」

白々しく。
そんなセリフを口にする。
思ってもないくせに。

俺が優と麗奈を色恋管理してから、売り上げは上がった。
誰の目に見ても分かる。

分かってないのは優と麗奈だけ。

「また、大層なこと言うようになったな。
髪の毛も明るくなったし、中学生には完璧見えないな」


「はは、学校行ってないし、もう学生でもないですよ」


「まあな、今日ウチ来るか?」


「あ、お願いします」


「よし、飯でも食いに行くか!」


「おごりですか?」


「アホ、年下に出させるかよ」


「やっりー」


「さー早く片付けしちまえー。俺はもう売り上げ締めたぞー」


「うわ、手伝って下さいよー」


「ふはは、タバコ吸って見ててやる」


ケラケラと笑いながら、ふかふかのソファにどかっと腰を降ろすと店長はタバコに火を点けた。
マイルドセブンの、そのタバコ。