まだ、12年しか生きてないけど。

大事なんだ。

「何があったか知らねえが、うちにでも来たらいい」


「…………」


ぽんぽんと、頭を撫でるその大きな手が。
その手が俺にはでかすぎて。

視界がみるみる内に歪んでいった。


俺は、家を出た。
その後、一度も帰ってない。
それから学校に行くこともやめた。

俺は店長の家や、由宇の家、麗奈の家を転々とした。

置いてきたものは、新しく買えばいい。
ここにいれば、望むモノ。
ほとんどが手に入る。


由宇は男に貢ぐのが好きらしく、色々と俺に買い与えては満足していた。

俺に貢ぐために、また働く。
そして、また貢ぐ。
その繰り返し。


麗奈には、わざと由宇と仲良くして、ライバル心を煽って働かせた。

ナンバーの由宇を、引きずり落とそうと躍起になる。

二人の仕事振りが、周りを刺激して、売り上げはうなぎ昇りだった。