「うーん、お前には早すぎるような気がするんだよな」


「……あのー…」


「ん?」

おずおずと答える俺に、店長は柔らかい声を出しながら顔を傾ける。

「話が見えないんですが…」

店長は暫く黙ってから、タバコを灰皿に押しつけた。

「伊織な、キャストから人気あるんだよ」


「…はあ」

それは嬉しいような、嬉しくないような。
曖昧に返事をしてから、店長を見る。

「だからな、伊織にキャスト管理して欲しいんだわ」


「…管理?」

俺がその言葉を反芻すると、店長が頷いた。


「イロ、をしてもらいたい」


「…イロ?」


さっきから店長の言葉を繰り返してばかりだ。
だけど、意味がわからない。

俺はまだ一週間しか働いてなくて、キャストの顔もやっと覚えたぐらいだ。

仕事もソツなくこなすにはまだ時間がかかりそうだったし。


そんな俺がその、イロとやらを出来るのだろうか。