レンタル彼氏【完全版】

「とにかく美咲は独占欲が強いんだ。
気に入ったら、猫も犬も、人だって関係ない。
…寂しい人だよ」


「え?」


「ううん、まあ、ほとんど中の仕事やらせるし…そんな気張らなくていいから」


「…はい」

ふっと笑って、店長は事務所から出て行った。
誰もいなくなった事務所で俺は暫く動けなかった。

さっきの、最後の台詞。


“寂しい人だよ”


ああ言った時の店長の顔が、切なくて何故か胸が締め付けられた。


それから俺は厨房でドリンクや、フードの作り方を教わった。
八時になるとちらほらキャバ嬢が出勤してきた。
キャバ嬢のことをキャストって言うんだと、さっき店長に聞いた。

もう一人、バイトで入ったボーイの川崎さんにその後の仕事を色々聞いた。


キャストの皆はやっぱり綺麗だった。

中学生だと、まだまだ化粧してる子なんか少ないし、してても、こんなうまくない。

このキャバクラっていう雰囲気に、俺は圧倒されていた。