「ねっ!会えるって言ったでしょ!」


私は満面の笑みで言ってのけた。
伊織は固まったまま、動かない。


「伊織、少し痩せた?」

なんか、やつれたようにも見える。

「……な、んで?」


何で?
何でってどゆこと?
何故私がここにいるかってこと?


「ここ、私の学校」


「…………ああ」


ああって、制服でわからなかったのかな。
てか、そんなん興味なかったのかな。



なるほどと頷くと、伊織は黙ったまま振り向いて去ろうとしている。
逃がしてたまるか!
私は走って伊織の腕を掴んだ。


「…わかってる、レンタル彼氏にプライベートで話かけたらいけないこと」


「…え?」


「え?」


二人して同じセリフを吐いて、見つめ合ったまま沈黙が続いた。


……え?って、契約破棄になってもやっぱダメなのかな。
伊織の顔、本当に何も読めないよ。


「………ああ、あれか」


「……?」


私が首を傾げると、伊織がまた私を見つめた。