帰り際、りさは優しく本当に優しく微笑んだ。


何を言うわけでもなかったけど。


俺はりさを見送ってから部屋に戻る。
一人で過ごすには広いこの部屋。


「………」


静寂が部屋を支配した。

ベッドに横たわると、色々なことが頭を駆け巡る。


いいことも。
悪いことも。



「……は、はははっ」


店と契約してる俺は、レンタル彼氏を辞めることは出来ない。


俺の体にはチップが埋め込まれていて、それで居場所を判別出来る。


だから、逃げ場なんてない。



俺は。
月2000万で人生を売ってしまったんだ。


あの時に。


これから使い物にならなくなるまで、俺は縛られ続ける。
解放された時に残るのは…………。






金だけだ。

2000万の半分、1000万。



そこから寮費を引かれても900万以上余裕である。