「シン君…こんにちは」覚悟を決めて口を開いたのは佳乃

「…音から昨日のデートが楽しかったって報告してもらってたの、偶然…私たちの母校にも一緒に行ったんですってね?」

「えっ?みんなの母校…」

「大きな木の傍…」

「ブッハーーー」

シン君は飲みかけのコーヒーを吹き出してかなり慌てている

「…シン君…大丈夫?」

音はティシュを数枚シン君に差し出しながら顔を覗き込む

「あっ…ありがとう…」

直ぐに視線を逸らされてしまい落ち込みそうになる音

「初デートでガッついてるって思われたかなぁー」

落ち込みながらボソボソと小さな声で話すシン君


「キスのことをとやかく言ってるんじゃなくて…『あの場所』が問題だったの
私たちにとって神聖な場所だからちょっと複雑心境なの」


まだ理解し難い表情を見せるシン君に佳乃が詳しく説明をする


「…そう言うことか何も知らなくてごめんね…音ちゃん
決していいかげんな気持ちじゃなかったけど悪かった…ホントごめんね」


シュンと落ち込むシン君を見て、あぁーだから知られたく無かったのにと思った