「ありがとう。
それで、何か気になるものはみつかった?」


「ええと…もう、すべてが気になるものばかりです!!!」
思わず本音が出てしまった。彼女はやっぱり笑っている。

「あなた、面白い方ね。それにとっても可愛いらしいし。
若い方が来てくれるのはほんとうに久々で、とても楽しくなるわね。
良ければお名前を聞いても良いかしら?」


「ええと…神樹海音です。
神さまの神に樹木の樹。それに海の音で“かいね”と読みます。」

名前を言っても、字が浮かばないとよく初対面の人に言われた。
それからは、字の説明をつけるようになった。

「海音ちゃん…“海の音”でかいねって読ませるなんて、綺麗な名前ね。貴方に凄く合ってるわ。
良い名前をつけてもらって幸せね。

海音ちゃんって呼んでもいいかしら?」

自分の名前が“変わっている”と言われたことがあったが、誉められたことはあまりなかった。

それに自分の名だけでなく、両親も誉められたようで何だか嬉しかった。