その後はとんとん拍子に話が進んだ。つまり、今更だから結婚式や披露宴は行わず、役所に婚姻届を出すだけとする。

新居は、当面は尚美さんが現在借りている2Kのアパートとし、先行きもっと広い部屋を借りるか、思い切って家を買うとかする。

その尚美さんのアパートの所在だが、この家からはかなり遠いが、俺の会社からは割と近く、今より通勤は楽になるらしい。もっとも、実際に尚美さんはそこから俺と同じ会社に勤めていたわけだが。


そして、次の週末がちょうど三連休だから、その時に俺は新居、つまり尚美さんのアパートに引っ越す。引っ越しにあたっては、たぶん尚美さんの弟さんがトラックを調達してくれるだろう、などなど。それこそ”あっという間”に話は決まってしまった。


「それでは、今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


などと互いの両親は挨拶をし合い、河内さん達は帰る事になったのだが、


「私は涼と話をしたいから、お父さん達は先に帰って?」


と尚美さんはご両親に言い、続けて俺に、「いいかな?」と聞いたので、もちろん俺は「いいよ」と答えた。

すぐにでも尚美さんから事情を聞きたいし、これからの事を話し合いたいから。