「尚美?」
「そんな風に思っていいの? 私なんかが……」
「“なんか”なんて言うなよ。おまえはもっと自分に自信を持つべきだぞ?」
「自信なんて持てないよ。奥さんのある人と付き合って、子どもまで産んだバカな女なのよ?」
とうとう尚美の目から大粒の涙が零れだした。
「バカって、おまえな……。ま、確かに俺も最初はバカだなと思ったよ。心の中でね。相手の男に騙されて、愚かだなと思った。でもさ、人を好きになったらしょうがないんだなって、思うようになった。俺自身、尚美の事をどんどん好きになって、つくづくそう思ったよ。渡辺さんも、会うまでは酷い男だと思ってたけど、会って話したらそんな事なかったな。優柔不断なところはあるけど、しっかり尚美の事を想ってた。希ちゃんの事もね」
と言ったところで、俺は嫌な事を考えてしまった。それは口にしない方が俺的には有利だが、それでは卑怯だと思うし、後あとまで悔恨が残る気がする。それは絶対に嫌だから、言う事にした。
「尚美、渡辺さんと別れた事、後悔してないか? 今ならまだ間に合うと思うぞ?」
尚美はどう答えるのか、俺はドキドキしながら尚美の反応を窺った。
「そんな風に思っていいの? 私なんかが……」
「“なんか”なんて言うなよ。おまえはもっと自分に自信を持つべきだぞ?」
「自信なんて持てないよ。奥さんのある人と付き合って、子どもまで産んだバカな女なのよ?」
とうとう尚美の目から大粒の涙が零れだした。
「バカって、おまえな……。ま、確かに俺も最初はバカだなと思ったよ。心の中でね。相手の男に騙されて、愚かだなと思った。でもさ、人を好きになったらしょうがないんだなって、思うようになった。俺自身、尚美の事をどんどん好きになって、つくづくそう思ったよ。渡辺さんも、会うまでは酷い男だと思ってたけど、会って話したらそんな事なかったな。優柔不断なところはあるけど、しっかり尚美の事を想ってた。希ちゃんの事もね」
と言ったところで、俺は嫌な事を考えてしまった。それは口にしない方が俺的には有利だが、それでは卑怯だと思うし、後あとまで悔恨が残る気がする。それは絶対に嫌だから、言う事にした。
「尚美、渡辺さんと別れた事、後悔してないか? 今ならまだ間に合うと思うぞ?」
尚美はどう答えるのか、俺はドキドキしながら尚美の反応を窺った。



