今日も撮影のために二人で公園を訪れた。わりと大きな公園で、噴水の広場の周りには芝生の地面が広がっていた。走り回る子供達と沢山の鳩に興奮した彼女があんまり目を輝かせるから「今日は好きにしていいよ」と言うと、彼女は嬉しそうに駆け出した。

彼女の足音に驚いた鳩が一斉に飛び立つ。彼女と、子供達も一緒になってそれを見上げた。まるで映画のワンシーンみたいで、僕はすかさずシャッターを切る。


「──ねえ!」

振り向いて欲しくて声を掛けると、彼女は素直に僕を振り返った。そしてにっこりと笑う。太陽の光に透かされた彼女の髪の毛は淡く琥珀色に反射し、肌は内側から輝いているような光を放つ。ファインダー越しに見る彼女はやっぱりきれいで、涙が出るほどに美しかった。

この時ばかりは、彼女の虜。

この瞬間のためなら喫茶店の高いケーキでもブランド物のアクセサリーでも買ってやる。

そんなことを思ってから僕の寂しい財布を思い出し、少し肩を下ろす。

バイト増やそうかな……。

軽い溜息を吐いてから顔を上げると、ほんの一瞬目を離したスキに彼女が鳩を追いかけて走り去っていた。もうあんなに遠くにいる。

あんまり気ままな彼女の行動に苦笑してから、僕はカメラを肩に掛け直し、彼女の後を追って駆け出した。



















よるをゆく