さて、どうしたものか。

奇抜な青年・鶴嫁怪(つるかけ)は考え込む。


目の前に佇む、タキシードに身を包んだこの男性。自分が『死んでいる』という自覚はない。

このままここに放置しておくのもいいかもしれないが、そうも言ってられんのだ。

鶴嫁怪(つるかけ)の仕事は悪魔祓いや、妖怪退治、浄霊なんかも類いにはいる。

いわば、人外の管理をすることなのだ。


だからこそ、この男性を放っておけない。なんとかしなければ。
しかし、一体どうしろというのか。

鶴嫁怪はチラリと目の端で男性を捕らえた。


「ん、あれ。どうかした?」

思わず視線が合ってしまう。

「…いや、なんもあらへんで」


とりあえず返事をして、鶴嫁怪は視線を前に戻した。