「ひなちゃん。頼んでいた赤いバラの花束はできてるかね?」


「はいできてますよ!奥さまにですか?」


「そうなんだよ。この歳にもなってねぇ。ロマンチックな妻をもつとろくな事にならない」


「ふふっ。でもお願い叶えてあげるんですね!素敵です!!」



私は暇な時間をあえて失くすために、お母さんから「たーくんがいる間は私が代わりにお店やっとくから気にしないでね」って言われていたのを押しのけてお店に出ていた。



「おお、綺麗だ」


「赤いバラがこんなにも揃う時は誰かがご予約してくれた時しかないんです!私も両手にいっぱいの赤いバラ見るのは久しぶりです」


「そうかそうか。・・・あ、カードには結婚記念日と書いてくれんか?」


「わぁ!結婚記念日だからなんですね!じゃあ私からも一つプレゼントさせてください!」



このおじいちゃんはお店をよくひいきにしてくれる人。

昔から奥さんと仲が良くて有名だ。



・・・だからってわけでもないけど、私は私なりのプレゼントを考えた。


花が大好きだから分かること。

それは花ことば。





「ささっと作ったので申し訳ないんですが・・・。スズランの押し花です。スズランの花ことばは幸福が訪れる、純愛、清らかな愛情です!お二人に幸福が訪れますように」



私はカードをつけたバラの花束と押し花にしたスズランをおじいちゃんに手渡した。



「ひなちゃん・・・ありがとうねぇ」


「いいえ!!」


「妻も喜ぶよ」





そう言って笑顔で帰っていったおじいちゃん。

私まで晴れやかな気分になった。