布団で少女が眠っていた。
「この人…」
私はその顔に見覚えがあった。
「雪見…日菜子さん…?」
どうして彼女がこんなところで眠っているの?
「この子日菜子ちゃんっていうの?」
「えぇ。私の命の恩人なんです。」
「そう。」
絹代さんは眠ったままの彼女の枕元に腰を下ろした。
「この子は道に倒れていたの。」
絹代さんは静かに言う。
「ひどい熱にうなされてるようで、もうずっとこの状態。名前もわからない。」
「そうだったんですか。」
そういえば、月元さん言ってたな…雪見日菜子というのも偽名で、本当の名前はわからないって。
雪見さん、何者なんだろう。
「夏樹ちゃん、あなたに頼みたいことがあるんだけどいいかしら?」
絹代さんが雪見さんに目を落としながら言った。
「なんですか?」
「彼女を助けてあげてほしいの。」


