ここまではよかったのだ。
俺は上手くやった。
「ごちそうさま。」
そう言って俺は笑った。
正直クッキーのせいで吐きそうなくらい気分は悪かったが精一杯の笑顔を作ったのだ。
「おいしかったよ、ありがとう。」
「よかったー!アキハくんのためにがんばって作ったの!!…あ、飲み物とかほしいよね気が利かなくてごめんね。」
智子は一気に話すと立ち上がった。
「飲み物とってくるからアキハくんはここで待っててね!」
「うん。」
飲み物はかなりありがたい。
早くこの口の中の謎の後味をなんとかしたかった。
智子は飲み物を取りに行くために部屋から出て行った。
部屋で一人きりになる俺。
見てはいけないと思いながらも、部屋の中をまじまじと見てしまう。
ピンクのベッドの上には白いクマのぬいぐるみ、机の上にはピンクのハートで縁取られた小さな鏡、その隣にはマニキュアってやつだろうか、小さな赤い瓶がおいてある。
俺の思い描いていた女の子の部屋そのものだった。
他の女の子の部屋もみんなこんな感じなんだろうか。
そんなことを考えながら部屋をぼんやり見ていたときだった。
「誰だ、お前。」


