自慢の可愛い家が、見えてきました。
遠くから見れば、いかにも幸せそうな家族が住んでいそうな、自慢の可愛い家。
家の前まで来た時に、ふとあの男の子の家の方を見てみました。
「…!」
あの男の子がいました。
自分の家の前で、家を見上げながら立っていました。
家には入らないのでしょうか。
私の視線に気がついたのか、男の子は私の方を見ました。
男の子と目が合った私は、慌てて目をそらします。
もう一度男の子の方を見ると、男の子はこちらに向かって手を振っていました。
誰に振っているのだろうと、周りを見渡しますが、私の他に人はいません。
男の子に問いかけるように、私は自分のことを指差しました。
すると男の子はうんうんと頷きました。
そして男の子は私の方へ向かって歩いて来ます。


