「それより、あのクロネコかいぬしきまったんだってなー。」


のぶ代さんがエサを食べながら言う。


「あぁ。」


「アキハ、なかなかかいぬしきまらないって、しんぱいしてたもんなー、よかった、よかった。」


そう、あの黒猫この間売れたのだ。


あの事件のとき、ステージを見てた客の一人の女子大生が、犯人に飛びかかる黒猫を見ていたらしく、事件の数日後にペットショップにやってきた。


そして黒猫をお買い上げしていったのだ。


念願の女子大生に買われて黒猫は大喜びだったが、最近聞いた話では、どうやら黒猫はその女子大生のおばあちゃんへのプレゼントだったらしい。


つまり、黒猫の飼い主になるのは女子大生ではなく、そのおばあちゃんだ。


黒猫には少し残念かもしれないが、店員みんなが売れない黒猫を心配していたので、みんな喜んで黒猫を送り出した。