特にこれといった外傷もなく、その3日後俺は退院した。
店長も仕事に復帰、クビになるかと思われた吉田さんも店長の優しさにより職場に復帰した。
そして…
「月元くん、復帰おめでとー!!」
店長と吉田さんがクラッカーを鳴らす。
「月元くんみたいな仕事のできる子が戻ってきてくれて嬉しいよ。」
店長の言葉に吉田さんがうんうんと頷く。
「ホント、よかったよー。これでまた俺と仕事代わってもらえるな。」
吉田さん、楽しそうだ。
「でも、俺本当に復帰していいんですか?」
「どうして?」
「だって俺、猫たち全部逃がしちゃったし。」
「あぁ、いいんだよ別に。」
店長はショーケースの方を見ながら言う。
「あの時出て行った猫ちゃんたちはなぜかみんな自分のショーケースに帰ってきたしね。」
ショーケースの中の黒猫と目が合った。
「結果オーライだよねー!アキハくんは俺と店長の命の恩人だよ。」
「さて、そろそろ僕は仕事にもどらなくちゃな、吉田くんもサボらず戻るんだよ。」
そう言って店長は店のレジの方へ向かっていった。
「仕方ないなー。」
渋々爬虫類のコーナーへ戻っていく吉田さん。
それは爆発事件の前の日常だった。
普通の、いつもの、よくあるバイト風景。
ただ、雪見さんがいないことを覗いては…


