「杏奈………………俺のものになって?」 「ちょっ…………せんっ…………」 私の唇はあっという間に塞がれた。 先輩の胸をトントンと叩いても、ビクともしない。 「はぁっ…………せ、先輩っ…………」 「ご、ごめん……………………」 我に帰ったのか、謝って背を向けた。 「でも………………」 「えっ?」 田中先輩のか弱い声。 「さっきのことは、ちゃんと考えてくれるかな?」 さっきのこと。 “俺のものになって?”ってこと?