しばらくすると、神崎さんは駐車場に来たセダン車に乗り込んだ。 僕は誰だかわからなかったが、会釈をする。 運転席の男性も会釈を返し、神崎さんは助手席から、雨にもかかわらず窓を開け、笑顔で手を振って帰っていった。 再び、ベンチに座る。 なんだか疲れた。 早く帰ろう。 ハナの風呂もまだだった。 今日こそ、シャンプーハット無しの洗髪に挑戦させなきゃ。 そう、ぼんやりと考える僕の携帯電話が震える。 ポケットから取り出し、誰から掛かってきたかも確認せずに耳に当てる。