梓は俺の前まで歩いてきた。



そして、バシッ!という音とともに頬に痛みが走った。



なんか今日は打たれてばっかだな。



「バッカじゃないの!?風邪でも引いたらどーすんの……!」



『……おっ!』



―……ぎゅっ。



怒鳴られたと思ったら梓が泣きながら俺の胸に飛びついてきた。



話をするため、体を話した。



『……あず「宙も真士のことだって好きだよ?二人とも大事な幼なじみだもん!だけど、真士はもっと特別なの!!真士はあたしのは……」



俺は梓の唇に人差し指を添えて話すのを制御した。



君が何を言おうとしてるか分かったから



梓が俺と同じ気持ちだって分かったから。



俺の勘違いじゃなければ。



『俺から言わせて?』