『梓、ごめん……』



―……バタンッ。



それだけを言い残して部屋を出た。



『はぁ……』



俺の初恋はここで終わった……。



そして、梓との"幼なじみ"という関係も―……。



俺は静かに梓の家を出た。



門をくぐった俺は後ろを振り返った。



ドラマのように窓から君が身を乗り出して俺の名前を呼ばないか、なんて少し期待して。



でも、その期待は実らなくてカーテンは閉まったまま。



もう……この家に入るのは二度とないんだ……。


名残惜しい気持ちを抑えられなくて、梓の家を見上げた。



さようなら―……。



俺は家を背に歩き出した。



家が隣じゃなくて良かった……そう思った。