「えっ?」
―……チュッ。
気づいたら、梓にキスをしてた。
バカだな……。
このあと、どうなるか……分かってるのになぁ……。
きっと頬を―……。
―……バシッ!
……ほらね。
「冗談でも笑えねーよ!!」
……いや、予想外だった。
まさか……君が泣くなって―……。
『……梓……ごめっ……』
俺は思わず手を伸ばした。
梓の見慣れない涙を見て……。
―……正直、戸惑っていた。
取り返しのつかないことをしてしまった……って―……。
―……バシッ!
「触らないでっ……!」
俺の手を振り払ったと同時に響き渡る君の怒鳴り声。
あぁ……マジで怒らせたな……。
止まった手を引っ込めて、俺は立ち上がった。

