乙女ときどき予知者 Ⅱ




『えっ?』



梓が俺の顔を覗き込んで急所をついてくる。



もうこの際だし、言ってしまおうと思ったけど、



『ひみつー』



つい、逃げてしまった。


フラれたくなくて、この関係を壊したくなくて、勇気がでなかった。



「えー!教えてよ!?あたしの知ってる人?何組の子?他校の子?」



ぶんぶん俺の腕を揺さぶる梓。



『んー……ひみつですぅー』



俺は普段を装ってそう言い返すしかなかった。



"好き"



この言葉を伝えるのは、簡単そうに見えて難しい。



伝えたいのに伝えられない……。



いつになったら、この気持ちが伝わるのだろうか。