『えっ?』
梓が俺の顔を覗き込んで急所をついてくる。
もうこの際だし、言ってしまおうと思ったけど、
『ひみつー』
つい、逃げてしまった。
フラれたくなくて、この関係を壊したくなくて、勇気がでなかった。
「えー!教えてよ!?あたしの知ってる人?何組の子?他校の子?」
ぶんぶん俺の腕を揺さぶる梓。
『んー……ひみつですぅー』
俺は普段を装ってそう言い返すしかなかった。
"好き"
この言葉を伝えるのは、簡単そうに見えて難しい。
伝えたいのに伝えられない……。
いつになったら、この気持ちが伝わるのだろうか。

