彼はそっと頬に触れた手を取り、指を絡めて握ってくれた。
「あーもうお前可愛すぎだろ。上目遣いとかマジ反則だし……キスしたくなるじゃん……」
そんなこと言う方が反則じゃん。
『じゃあ……する?風邪移るよ』
あたしはクスッと笑って冗談を言った。
「ったく、煽んなよ」
いきなり声のトーンが低くなり、ドキッとした。
―……チュッ。
彼は唇ではなく、あたしの頬にキスをした。
「仕方ないからこれで我慢する……」
彼の顔を見ると……。
『拗ねないでよ』
子供のように拗ねていた。
「拗ねてないから!ほら、早く寝て治して」
うん、早く治すね。
治ったら、今日より愛してね―……。
『悠樹……帰っちゃうよね?』
まだ一緒いたい……。
帰らないでよ。

