「あ!中原君、先生のところ行ったよ!」
比奈乃の声で、レースを見始めてからやっと
「うん!」と答える若菜。
ずっと中原君に釘付けみたい。
「1つ目は眼鏡をかけた人だったのかー。
そういうのならまだいけるな」
「いや、この2つ目が大変なんだって」
良憂ちゃんの言葉に深刻な表情を浮かべて
返答する宏斗くん。
経験が物を言うってことだね……
しかし、中原君は戸惑うことなく
こちらの方へ向かってくる。
「な、なんか、こっち来てるよね?」
「「「う、うん」」」
私の問いかけにみんな頷く。
そして、中原君は若菜の前で立ち止まった。

