ブラッドサースティ・キラー

 そうか。そうだったんだ。深く考えれば、分かることだった。

 血に塗れた現場に居合わせた時、僕は必ず息が荒くなったり、身体中から汗が噴き出したり、心臓が大きく脈打っていたけれど……そういうことだったんだ。

 僕は血塗れた現場に、現実に、目の前に怖がっていたわけじゃない。

 これらすべて、“殺人衝動”からきていたものだったんだ。

 僕はもともと、おかしな性癖をもっていた。――それが人殺しだ。

 どうして今まで忘れていたのだろう。

 ――いや、忘れていたわけじゃない。

 僕は――いや、俺は、つねに血に飢えている殺人鬼だから、気を抜いたら誰これ構わず殺してしまいそうになるから、だから押し殺すため、“僕”という人格を演じていたんだ。