ブラッドサースティ・キラー

 反射的に身体が動き、鏡を見て男性の顔を拝んでやろうと思ったけれど、それよりも早く、首元に冷たい何かが当てがわれる。


「動くな。殺すぜ?」

「……っ」

「ヒヒッ。いいねぇ、その恐怖に満ちた顔。たまんない」

「お前は……だれなんだ?殺人鬼……なのか?なんで僕にまとわりつく?」


 殺人鬼なのかはたまた違うのか、よく分からないでいる男性は、舐めるような声音で言った。


「俺がだれかって?……それは、お前が1番、知っていることだろ?」

「えっ?」


 僕が1番、知っている?

 いやいや、僕に殺人鬼なる人物の知り合いなんていないのですが。

 昨日の那ヶ真先輩といい、どうして肝心なことを教えてはくれないのだろう?

 意地悪にも程がある。