ブラッドサースティ・キラー

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 僕が病室で過ごし始めて、役1日もの時間が経過した。

 後頭部の痛みは引いていたし、家族みんなも安心したように笑っていたし。

 もう、僕の後頭部の怪我については心配することはないだろう。

 家に帰れるのも時間の問題だ。


「……ん」


 用を足したくなった僕は、ベッドの上から立ち上がり、ぺたぺたとスリッパの音を響かせながら廊下を歩く。

 どこにあるのかも把握してあるトイレへと一直線に向かい、中に入る。

 そして、用を足した僕は、手を洗うために設置されている洗面台へと視線を落とした。

 蛇口をひねって水を出し、手を洗っていた刹那――背後から笑う声がした。


「よぉ、元気か?」


 ――っ?!

 この声……あの夜に聴いた男性の声?!