このままじゃ、泣いちゃうから。


先輩の前では泣きたくないの、お願い。



「……お幸せに、先輩」



そう言うと先輩は、少し照れ臭そうに笑
いながらも、「ありがとう」と去ってい
った。



先輩の背中を見送りながら、頬を、つう
、と温かいモノが伝うのを感じていた。



初恋は実らないって、誰かが言ってた。



それは……本当だったんだね。



明日からは、ただの先輩と後輩。



大丈夫。



今日だけは、弱くなっちゃうかもだけど




……明日にはまた、戻れるから。