なんとか名前くらい覚えてもらおうと話しかけた会ががあったのか、雪村さんは他の人には見せない微笑を、私に見せてくれるようになった。 舞い上がるように嬉しかったのを覚えてる。 けれどそんな想いはただの自己満足にすぎないんだって、ある時痛感させられた。 雪村さんの姿を探して、教材を持ちながらテラスに行く。 彼は静かな場所が好きだった。