正直、大切なものを奪われた気がして、胸の奥が苦しくなった。 結海が指輪を見せるたび、悔しくてなんか自分が惨めに思えて。 それでも結海が幸せならそれでいいんだ。 そう自分に言い聞かせていた。 結局俺は、臆病だっただけなんだ。 今までの関係がなくなるのが怖くて、最後の一歩が踏み出せなかっただけの、卑怯な臆病者。