新選組と妖猫ちゃん!



…仕方ない。


お父さんの袴を着るか…


私は、着物が納めてある箪笥から、
お父さんの袴を引っ張り出した←


今までもお父さんの着物は
着た事はあるけれど、
なんせ、お父さんの着物には、
お父さんの強い妖力が残っていて、
着こなすのが大変←


何百年も生きた猫又とかだったら、
その着物の妖力を
自分の力にプラス出来るけど、


私みたいな、
まだまだ未熟な猫又だと、
着物の妖力に負けて、
人間の姿から猫又の姿に戻っちゃう←


前に着た時は、
まだ5才とか幼い時だったから、
そっこーで猫又の姿に戻っちゃった。


あれから9年もたったから、
流石にもう大丈夫だと思うけど…


私はいそいそと、
返り血で汚れた着物を脱ぎ、
袴へと着替えた。


そして、
その場で少し待ってみる。


「…。」


…大丈夫…かな?


まぁ、袴だったら
刀も普通に持ち歩けるしね!!


私は、刀を腰にさし、
軽く朝…というか昼ごはんを食べて、
昨日渡された書状を取り出した。


えーと…


その書状には
数人の名前が書いてあった。


しかもその人たちは、
新撰組っていう組織にいる人だって。


…んー、聞いたことはあるけど、
どんなところかは分かんないなぁ…


「近藤勇、土方歳三、山南敬介、沖田総司、永倉新八、斎藤一、藤堂平助、原田左之助…」


書いてある名前を復唱してみたけど、
聞いたことがあるのは名前だけで、
どんな人たちかは分からない。


でもまぁ、
おじさんが命をかけてるんだから、
私もちゃんと探し当てないとね!


…ってあれ…


私、おじさんの名前聞いてないー!
そして、お代も貰ってないー!


私は、はぁ…と溜息をついた。


だって、いくら人を殺すお仕事でも、
私だって一応命がけなんだもん!


それにお金がないと、
商売道具の刀も磨けなくなる!!


…。


「…まぁ、いっか…」


お代は、おじさんの魂って事で!


私はパパパッと身支度を済ませ、
昼間の京の街へと繰り出した。