恋を知らない人魚姫。



「海憂がそう言うなら、無理強いはしないけど……。でも、あたしは海憂の友達だから、どこでも一緒にいるからね」


その言葉通り、何を言われようが愛海は、あたしと一緒にいてくれる。

登下校、昼休憩、授業の合間の休憩時間にも時々。

クラスメイト達にどんな目で見られようと、何を言われようと、

傍にいてくれる……。


そして、愛海はあたしを心配してくれている。


教室とか、あえてみんなのいる場所に行こうとするのは、あたしのため。

少しでもクラスメイト達と、良い方向に近付けさせるため。


クラスに早く、新しい友達が出来るように……と。



でも、あたしはそんなのいらない。

愛海さえいてくれれば、それだけでいいの。


それだけで――。