「……でね、来週の日曜とかって無理?」
自分のものじゃない。でも、すっかり慣れた部屋の、使い慣れたテーブルの上。
ノートにペンを走らせるあたしは、ベッドの上の彼に背を向けたまま、問いかける。
「え、それマジで言ってんの? 俺、そいつと面識ないと思うけど」
戻って来た返事は予想通り。
こんなこと、喜んで受けてくれるなんて、始めから思ってはいない。
……でも。
「愛海、今回かなり本気みたいだから、協力してあげたいの」
ペンを止め、少し強く言うと、後ろでギシッと軋む音。
「ふーん……愛ちゃんのことになると、今でも必死なんだな」
そう言って、あたしの髪の毛を弄ぶ。
ツンツンと引っ張られて、若干痛い。
「……必死になるのは当たり前でしょ」
思い出すのは、今日の笑顔。
同じ大学の女の子と、少し話しただけなのに、あんな笑顔見せられたら……頭も上がらない。



