恋を知らない人魚姫。


「お友達とおしゃべりとかいいなぁ。わたしはこれから課題。……あ、月城さん、今度勉強法教えてよ」

「そんな大したことは、やってないけど……」

「いいのいいの!月城さん教授に褒められてたでしょ?ちょっとでも教えてもらえると、助かる!」

大学生の世間話のような、そんな他愛のない会話を少しして。

「じゃあ、お邪魔しちゃってごめんね」と残して、その子は奥の席へと歩いて行った。

その姿を何となしに見送ってから、愛海に視線を戻す……と、

まるで秘密の恋人でも目撃してしまったかのように、愛海はニヤニヤと笑みを浮かべていて。

「今の大学の友達?」

「友達って言うほど、親しくはないけど……普通に話はする、かな」

「へぇー」

両手で頬杖をついて、んふふと声まで漏らしながら、あたしを見る愛海。

その笑顔の意味が分からなくて、小さく首を傾げると、


「海憂が今、楽しそうで良かった」


愛海はとても嬉しそうに、そう言った。