「ありがとう!海憂、大好きっ!」
「うん……」
これじゃダメだって分かってるのに、完全に一度惚れた弱み。
小さくため息を漏らすあたしの前で、
「アイスティーのお客さま、お待たせしました」
「はいはいっ!」
愛海はにこにこして、ストローを口に含む。
まぁ……仕方ないか。
あたしは愛海のことが、好きなんだもん。
一秒でも長く、笑顔でいてほしいから。
誰よりも幸せになってほしいから。
出来る限り協力してあげたいと、思ってしまう。
それに……。
「海憂は今……」
ストローを口から離し、何か言いかけた愛海の声を、
「あっ、月城さん」
たまたまお店に入って来た女子が、遮った。
その人は、同じ大学の女の子。
「友達?」
正面に座った愛海を見て、訊ねられて頷くと、ふたりは「こんにちは」と、挨拶した。



