「海憂っ!」

大学近くのカフェテラス。
あたしの姿を見付けた愛海が、入口からぶんぶんと大きく手を振る。

ノースリーブのブラウスに、ショーパンに、生足。
胸元辺りまで伸びた髪は、今日はポニーテールにしてあって。

もうすぐ二十歳になる愛海の眩しさは、太陽にも負けそうにない。

「いきなり呼び出しちゃってごめんね?」

「ううん、大丈夫」

片手で謝りながら椅子を引く愛海に、あたしは開いていたノートをパタンと閉じる。

「勉強?」

「うん。今作曲の方やってて……」

「すごーいっ!」

キラキラと目を輝かせる愛海。
まさかそんな喰いつかれるとは思ってなくて、恥ずかしさが急に込み上げる。

すると、

「ねぇ、聞かせて!」

愛海はテーブルに身を乗り出して、予感したそのままのことを、言ってくれた。