櫻井くんもまた、愛海に恋していたあたしと同じで。
意地悪ばっかりされてたけど、それはそれで、あたしを振り向かせようと必死だったのかな……と、思うと、くすぐったくて、愛おしくて。
「ずっと好きだった」
彼の言葉に頷いて、あたしはまた自分の耳を、彼の胸へと押しあてる。
ドクン、ドクン……。
響く鼓動は、あたしの中のリズムと一緒。
全く別の、姿も性格も違う人間なのに、同じ気持ちを抱いてる。
それはとても貴重な、奇跡みたいなことに思えた。
重なる鼓動、気持ち。
いつか音楽にしたいな……って、そんなことを考えていると、
櫻井くんはゆっくりと、あたしの体を離した。
そして、
「もう一回、付き合ってくれる?」
目と目を合わせ、言ってくれた申し出に、
「……いいよ」
あたしは微笑んで、返事した。



