「高2ん時クラスの奴らが、すっげー可愛い女子がいるって騒いでて。でも、かなり変わってるって噂になってて、どんな風に変わってんのか、ちょっと気になった。……で、実際見てみたら、確かに顔は可愛かったけど、全く笑わなくて。面白くないし、変な奴だと思った」
遠慮というものを知らないのか、バッサリあたしを切る櫻井くん。
昔ならムッとするだけなんだろうけど、今は彼に好意を抱いているだけに、若干凹まなくもない。
だけど、
「でもさ、偶然笑ってんのを見ちゃったんだよね。……ある女の子の前では、いっつも笑ってた」
続けられた彼の言葉に、胸をぎゅっと掴まれる……そんな感覚になった。
「その子のことが好きなんだって、すぐに気付いて。そしたら何か、急に気になり始めてさ……。自分のものにしてやりたいって、いつの間にか思ってた」
「何それっ……」
人のこと、物みたいに言わないでよ。
そう言ってやりたいのに、言葉に出来ない。
胸の中で渦巻く気持ちは、そんな前から知られていたことに対する恥ずかしさと、もうひとつ。
「だから、助けるためとか偉そうなこと言ってたけど、結局は俺が月城さんのこと、欲しかっただけ」
「っ……」



